美食の報酬・あらすじ・ネタバレ解説【刑事コロンボ42】

ドラマ

刑事コロンボS7E2「美食の報酬(Murder Under Glass)」のネタバレあらすじ、トリック解説です。本作は料理界を舞台にした異色作で、目にも鮮やかな料理や独特の緊張感が詰まった作品で、どうやって毒を入れたかが焦点となります。

あらすじ(ネタバレ注意)

料理評論家のポール・ジェラード(ルイ・ジュールダン)は、評論家という立場を利用して、レストランのオーナーを恐喝し、金銭を得ていました。ところが、あるオーナーが恐喝を暴露すると言い始めたため、ポールは、オーナーとの夕食の最中に、ワインにふぐ毒を仕込み殺害します。コロンボは、事件直後のポールの言動に違和感を抱き、犯人の嫌疑をかけます。

犯人のポール・ジェラートは有名な料理評論家です。レストランの評判を落とすことも容易な立場にあるポールは、その影響力を利用して、レストランオーナーから金を受け取っていました。一方、被害者はイタリアレストランのオーナーであるヴィットリオ・ロッシです。人望の厚い人物でした。被害者が恐喝を暴露すると言い出したため、ポールは殺人を実行しました。ポールはレストラン振興協会の口座を使って、金銭を授受していました。金を引き出せるのはアイリーン・デマイロという人物です。引き出す際は、ポールの恋人がその人物に扮していました。

事件発覚後、現場に呼び出されたポールは、一緒に食事をしていた人物が毒殺されたと知りながらも、非常に冷静な態度を示します。ポールを疑うコロンボは、被害者の死に際の行動から、レストラン振興協会と記された小切手をみつけ、ポールと被害者の金銭のやり取りを掴みます。さらに、ふぐ毒が使われたこと、ワインオープナーの針に毒を仕込む手口などを突き止めたコロンボは、決定的な証拠を掴むため、ポールを夕食に誘います。ポールは毒入りワインオープナーを用意して、夕食に臨みます。そして、オーナー殺害と同じやり口で、コロンボ殺害を実行します。しかし、毒入りワイングラスをコロンボにすり替えられ、コロンボ殺害は失敗。逆に、毒入りワインという決定的な証拠を握られます。

登場人物とキャスト

  • コロンボ警部(ピーター・フォーク):ロサンゼルス市警の殺人課刑事。よれよれのレインコートと冴えない風貌で犯人を油断させますが、鋭い観察力と心理的誘導で真相へ迫ります。本作ではイタリア語を披露したり、見事な料理の手際を見せたりと多才な一面を発揮します。
  • ポール・ジェラード(ルイ・ジュールダン):犯人。影響力を持つ高慢な料理評論家。裏でレストランオーナーたちを脅迫して大金を搾取していました。冷酷かつ自信家で、コロンボをも毒殺しようと企みます。
  • ヴィットリオ・ロッシ(マイケル・V・ガッツォ):事件の被害者。人気イタリアンレス トランのオーナーシェフ。ジェラードの脅迫に耐かねて悪行の暴露を決意したため、命を狙われることになります。
  • イヴ・プルマー(シェラ・デニス):ジェラードの秘書であり愛人。「アイリーン・デ・マイロ」という偽名を使って強迫で得た口座の管理や資金の引き出しを行っていました。
  • アルバート(ラリー・D・マン):ヴィットリオの店で働くシェフ。亡くなったオーナー への忠誠心が高く、事件後にジェラードへ激しい怒りを向けます。
  • マリオ・デ・ルーカ(アントニー・アルダ):ヴィットリオの甥で店のウェイター。英語があまり話せず、叔父が目の前で毒死する瞬間を目撃して深いショックを受けます。
  • マックス・デュバル(リチャード・ダイサート):フレンチレストランのオーナー。「レストラン振興協会」の副会長を務め、ジェラードに賄賂を支払っていた一人。
  • メアリー・チョーイ(フランス・ニュイエン):高級中華レストランの女性オーナー。「レストラン振興協会」の会長名義になっており、ジェラードへ関与していました。
  • ケンジ小津(マコ岩松):ジェラードの友人として招かれた日本人実業家。コロンボにフグの毒性と調理の危険性について教えてくれる人物です。

トリック解説

犯人はワインオープナーの針にふぐ毒を仕込み、標的を殺害します。

毒殺

犯人のポールは、ガスを瓶に注入してコルクを開けるワインオープナーに毒を仕込みます。

  • ワインオープナーにはガスの流路となる針があり、犯人は、この針の部分にふぐ毒を仕込みます。
  • オーナーが使っているワインオープナーと同じものに毒を入れ、夕食の時にすり替えます。

犯人のミス

コロンボがポールを疑うきっかけ、犯人であることを裏付ける証拠です。

ちぐはぐな証拠

説明のつかない不自然な証拠や状況です。

毒殺

ポールは、一緒に食事していた人物が毒殺されたと聞いても、自分の身を案ずることはありませんでした。自分が安全であると確信できるというのは、不自然です。

カートリッジ

ワインオープナーはカートリッジ式で、カートリッジにはガスが入っています。犯人は、ワインオープナーをすり替え、その後、元に戻します。この元に戻したワインオープナーのカートリッジが空だったため、コロンボはすり替えを疑います。

八時の夕食

犯人は、被害者と夜八時に夕食の約束をしていましたが、九時頃に到着する友人を空港に迎えにいく予定を立てていました。つまり、夕食は途中で切り上げるつもりだったといえます。

犯行の証拠

殺人を裏付ける証拠です。

被害者の行動

犯人と被害者が食事をしている時、ひとりの給仕がそばにいました。この給仕は英語が理解できず話すこともできませんでしたが、被害者の最後の行動を目撃しました。この給仕が、被害者が亡くなる直前、引き出しを激しく開け閉めしていたと証言し、小切手がみつかります。

コロンボの罠

捜査を進展させるため、コロンボはいくつか罠をはります。

小切手回覧

コロンボは被害者の葬式で小切手を回覧します。その小切手を受け取った参列者の反応をみて、関係者を洗い出します。

呼び掛け

ポールの恋人に、さりげなくデマイロと呼び掛け、返事をさせます。これにより、レストラン振興協会の金を引き出していたデマイロ夫人が、ポールの恋人であることを突き止めます。

食事会

コロンボは、ポールを犯行現場での食事に誘い、犯行を再現させます。罠にかかったポールは、毒入りワインという証拠を残します。

ワインオープナーの印

ワインオープナーのすり替えも実証するため、コロンボはレストランのワインオープナーに印をつけていました。

感想

ふぐ毒が登場するエピソードでした。毒をどうやって飲ませたか、というのは古畑任三郎「ニューヨークでの出来事」でも主題になっています。原題は「Murder Under Glass」(ガラス下の殺人)でし。「美食の報酬」は原題とは異なったタイトルです。
ポジティブな評価として特に多く挙げられているのが、「美食の応酬」と称されるほどの豪華な料理シーンです。イタリアン、フ レンチ、中華、和食と世界各国の料理が次々と登場し、コロンボが現場や聞き込み先で美味しそうにごちそうを平らげる姿が観ていて楽しいと大好評です。また、ラストシーンでコロンボと犯人が互いの才能を認めつつも人間としての嫌悪感を隠さず火花を散らす心理戦のハイレベルさや、コロンボが手際よくコック帽を被って料理を作るシーンの可憐さ・格好よさも高く評価されています。一方で、ミステリーに慣れた視聴者からは批判的な視点や突っ込みどころも指摘されています。劇中でフグ毒を抽出するシーンに使われている魚がどう見ても無毒の「ハリセンボン」に見える点や、アメリカから見た日本文化(芸者やハッピなど)の描写に対する独特の違和感、さらには犯人が同じ毒殺手口で警察官であるコロンボまで消そうとするリスク管理の甘さなどが挙げられています。しかし、こうした不自然さも含めて「変だけど突っ込み甲斐があって実に楽しい」「雰囲気が抜群に洒落ている」と、愛すべきポイントとして肯定的に受け入れられています。

ドラマの内容を、殺人の計画性、偽装工作、犯人のミス、動機、凶器、トリック、コロンボの罠で簡単にまとめます。ワインの瓶にガスを入れコルクを引き抜くワインオープナーが使われます。

項目 内容
殺人の計画性 あり
偽装工作
ミス 食事を共にした人物の毒殺
動機 恐喝の暴露を阻止
凶器 ふぐ毒
トリック ワインオープナーに毒
コロンボの罠 犯行を再現させる

口コミ分析

海外サイトの口コミには、restaurant、food、bestなどが書き込まれています。

余談

  • 名匠ジョナサン・デミの若き日の演出:本作の監督を務めたのは、後に映画『羊たちの沈黙』でアカデミー監督賞を受賞 するジョナサン・デミです。当時34歳だった彼のスタイリッシュな画面構成や映像のテンポ感、表情の切り返しなどに才能の片鱗が窺えます。
  • 実生活での夫婦共演:秘書イヴ役を演じたシェラ・デニス(シーラ・ダニーズ)は、ピーター・フォークの実際の妻です 。本作の撮影直後に二人は結婚しました。彼女はシリーズに何度も異なる役でゲスト出演しています。
  • ハリセンボンの謎:劇中でフグ毒を取り出すためにさばかれている魚はどう見ても「ハリセンボン」です。ハリセンボン には毒がないため日本のファンから長年ツッコミを受け続けていますが、一説には本物の毒魚を俳優に扱わせないための安全・コンプライアンス上の措置だったのではないかとも考察されています。また、魚を包んでいた新聞紙が日本語の新聞である点も細かい小ネタです。
  • エドガー賞受賞の脚本:本作の脚本を手掛けたロバート・ヴァン・スコイクは、アメリカ探偵作家クラブが主催する「エ ドガー賞(最優秀テレビエピソード賞)」を受賞しました。
  • コロンボの得意料理:ラストでコロンボが作っていた料理は、牛肉の薄切りをバター、オリーブオイル、シャンピニオン 、ワケギ、ワインなどで炒めたイタリア料理「スカロッピーネ(炒め焼き)」です。
  • テーマ曲の旋律:本作では、コロンボの非公式テーマ曲として知られるイギリスの童謡「This Old Man」が、授賞式のバ ンケットシーンなどで豪華なオーケストラアレンジとして大々的に使用されています。
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